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和くんの読書日記
2006年03月 アーカイブ
2006年03月09日
国家の品格 ★★★★★

 冬季オリンピックのフィギアスケートで、荒川静香がアジアで初めて金メダルを獲得した。寝不足になりながらも日本人3選手の演技を固唾を呑んで見守っていました。日の丸の掲揚と君が代を聞いたときのあの感動。胸にジーンときたのはなんでしょう?日本人としての誇り?・・・

 戦後、日本人は優秀であるが故に、アメリカから日本人の民族性や優秀性を奪い取る政策により、今日まで来ていると言われます。我々は気づかないうちに日本人としての特性が失われている。日本を形成する日本人の本来の品格はどうあるべきなのか。
 内容的には実に乱暴な解釈はあるが、日本人たるものどうあるべきかを考えるいいきっかけになる本だと思う。日本人が如何に優れていたかを初めて知ることもできるし再認識もできる。

 イギリスのオックスフォード大学は1200年代から形成され、約40のカレッジで成り立っている。夫々のカレッジには、校舎の他にチャペルとラグビー場と大食堂がある。当時と同じように教員と学生が一堂に会して食事を執る。古き伝統である。日本にある古き伝統とは・・・

 作者の講演録をもとに書き直されている為、平易な文章で読みやすい。人間力を高める為にも是非読んでいただきたい一冊です。

作 家  ; 藤原 正彦
出版社  ; 新潮社・新潮新書(714円・税込)
和くん評価; ★★★★★

2006年03月10日
包帯クラブ ★★★★★

 天童荒太といえば、『家族狩り』『永遠の仔』に代表されるように、社会性のある重厚なテーマで描いた作品をイメージするが、この本はそういう意味では、軽いタッチで描かれている。
 6年ぶりの書き下ろし長編小説と本の帯に書かれているが、前の2冊に比べれば短編小説と言える。彼の作品はその時代に反映された、現実と対応したあり得そうな物語を現実とは紙一重のフィクションとして表現しているからこそ、胸を打ち心に沁みるのだろうと思う。

 物語の主人公は、関東のはずれのとある町に暮らす高校生たち。お互いをワラとか、タンシオ、ギモ、リスキー、ディノなどと呼び合い、自分たちしか通じない日本各地の方言を使って会話をする。
 ある日、傷ついた場所に包帯を巻いてみたらずーっと気持ちが楽になった。それが「包帯クラブ」の始まり。苗字で呼ばず、あだ名で呼び合うのも、もし親が離婚したら苗字が傷になるから・・・
 人の傷に対して人間は往々にして鈍感である。そうではないだろうと作者は呼びかける。人の受けた心の傷に対して、要望に応じて包帯を一つ一つ巻いていく。
 この本の冒頭に、「これは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした、世界の片隅の、ある小さなクラブの記録であり、途中報告書だ。」とあります。自分たちの大切なものとは何か?

 登場人物たちの十数年後の報告が所々で挿入されており、この物語の大きな広がりを感じます。
 『心の傷』をテーマに、その後の主人公たちがどうなったのか・・・これからの物語の続編を期待したくなる、軽いタッチとはいえ、心に沁みる天童荒太入門小説といえるでしょう。是非、読んでみてください。

作 家  ; 天童荒太
出版社  ; ちくまプリマー新書(798円・税込)
和くん評価; ★★★★★

2006年03月22日
沖で待つ ★★★☆

 この春の第134回芥川賞受賞作。
 芥川賞とは、芥川龍之介の名を記念して直木賞と同時に昭和10年に制定された。各新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品中最も優秀なるものに呈する賞(応募方式ではない)。主に無名もしくは新進作家が対象となり、受賞は年2回。審査委員は石原慎太郎、宮本輝、村上龍、山田詠美など八委員。

 自分としては初めて出会った作家である。過去に芥川賞候補に3回、直木賞候補に1回ノミネートされ、4回目で芥川賞を受賞したのだが、結構面白い作家である。本人自身、大学卒業後、この本の主人公と同じように住宅設備機器メーカーに就職し、約11年間の社会経験の持ち主。

 主人公が大学を卒業後女性総合職として就職したのが、住宅設備機器メーカー。全国各地に拠点があり、山梨県出身の彼女が配属されたのが九州の福岡。一緒に配属されたのが同期の牧原太こと「太っちゃん」。学生時代の男女の関係でも先輩後輩でも同級生という関係でもなく、社会人の上司部下、同僚でもない、初めて味わう「同期」という人間関係。恋愛感情でもなく、単なる友情でもない、仕事の中で、現場で味わう同じ釜の飯を食う男女を越えた新しい関係。
 社会人として非常に交感出来る、面白い作品である。でも、何故幽霊が出てくるのだろう・・・?

 この本に一緒に収録されてる『勤労感謝の日』も結構面白い短編小説である。

 ところで、直木賞と芥川賞の選考基準はどこが違うのでしょう。違いが良くわかりません。大衆文芸作品と純文学短編作品との違い? どう違うのでしょう?
 自分的には直木賞受賞作品の方が面白い作品が多いと感じるのですが・・・まだまだ読みが浅いのでしょうか・・・

作 家  ; 絲山 秋子 (いとやま あきこ)
出版社  ; 文藝春秋社 (1,000円・税込)
和くん評価; ★★★☆

2006年03月30日
チーム・バチスタの栄光 ★★★★★

 ?宝島社、日本電気?等々が主催する第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。こういう賞があることを実は知りませんでした。
 現役勤務医が初めて書き上げた作品。とても新人が書いたとは思えないほどよくできた痛快な小説。現役の医者だからこそ書ける医療現場のリアリティー。

 東城大学医学部付属病院はアメリカの心臓専門病院から心臓外科の世界的権威、桐生恭一を臓器統御外科の助教授として鳴り物入りで招聘する。彼の下にできたチームがチーム・バチスタ。着任してから一年、成功率平均6割のバチスタ手術を全て成功に導いた当大学病院のスーパー集団。

※バチスタ手術とは、学術的な正式名称を「左心室縮小形成術」という。一般的には、正式名称より創始者R・バチスタ博士の名を冠した俗称の方が通りがよい。拡張型心筋症に対する手術術式である。肥大した心臓を切り取り小さく作り直すという、単純な発想による大胆な手術。

 この完璧な筈の手術が3回続けて術中に失敗する。医療ミスかそれとも殺人か?病院長からバチスタチームの内部調査を依頼された神経内科の万年講師で不定愁訴外来責任者の田口。そして厚生労働省から派遣された変人役人白鳥。この二人が絶妙なコンビで謎を解き明かす。

 以前直木賞を受賞した奥田英朗著の『空中ブランコ』の伊良部先生とは似て非なる人物の登場。想像もつかない意外な展開の結末。田口・白鳥コンビで是非次回作も期待したい、絶対読んで損しない面白い本です。

作 家  ; 海堂 尊(かいどう たける)
出版社  ; 宝島社 (1,680円・税込)
和くん評価; ★★★★★

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